「お正月にみんなで食べる辻占です。よろしければ。」
と頂いたのは巾着のようなお砂糖菓子でした。
お正月を迎えると、金沢の方では縁起物として家族で楽しむそうで
中に入っている小さなおみくじで今年の運勢を占うのだとか。
初めて頂くお菓子にワクワクしながら柔らかい和紙を慎重に広げると・・・
「足るを知る」
「共に白髪のはえるまで」
「仏様よりあなたがたより」
青い色で書かれた文字が胸に響きました。
若い頃はいつも「何か足りない」「何かが欠けている」と過ごしてきた私。
自分の事を見ているようでいて、視線の先は周りのことばかりで
他に比べて足りない部分を何かで補おうと必死になることもありました。
そんな私も一つずつ歳を重ねていると
時折自分の内側に目を向けることができるようになり、
「色んな事を得てきた」「こんなにも多くのものを手に入れた」と
自分を誇れるようになりました。
勿論全てに満足して「もうこれ以上何もいらない!」「何も学ばなくていい」と
言っているわけでは決してなく
これからも多くを学んでいけたらと思うのですが、
他人や社会の基準に合わせたり、流されたりすることなく
私自身に合ったものを選び、私にとっての「足る」を知っていけたらと思う今日この頃。
さて、少し前に彫った作品・・・
書棚にある手塚治氏の「時計仕掛けのりんご」を手に取り
立ったままパラパラとページをめくっている時に思いついたデザイン。
手塚氏の作品同様、少し毒気のあるものに仕上げたく、
幾何学的なアプローチでナイフを走らせました。
誤魔化しのきかないシンプルなカットは簡単そうでいてやはり難しいものです。
(誤魔化そうと思ってるわけではありません!笑)
ラインを細く描くほど、皮の圧力が抜けることで変形したり千切れたりも・・・
もう少しスイカと対話をしながら彫らなくちゃと感じた作品です。